医学書の企画書では、まず「なぜ私がこの本を書くのか」を説明することが大切です。
この理由が明確であればあるほど、編集者は企画書の価値をすぐに理解できます。
反対に、理由が曖昧なままでは、どれほど内容が優れていても採用に至りません。
この記事では、その答えを企画書に盛り込むための5つのポイントをご紹介します。
1.「私が書く理由」を示しましょう
類似の医学書が多い中で、自分だからこそ書ける経験や視点を簡潔に書きます。
編集者はその一文で、企画の特徴を理解します。
たとえば「地域救急の現場で20年の危うい気管挿管を実施してきた経験」や「医学生への講義を10年以上続けて得た教育ノウハウ」など、数字や具体的な実績を交えることで説得力が高まります。
書き出しは100〜150文字程度にまとめると読みやすいです。
2.読者像を具体的に決めましょう
「医学生や研修医」では大まか過ぎます。
たとえばあなたの施設にいる、あの「初期研修2年目の佐藤さん」のように名前と状況まで設定すると、より具体的な目次や企画の設定が浮かびやすいです。
その想定読者の悩みや検索ワードを想像すると、必要な章立てが見えてきます。
- 夜勤明けに「ショック ルート確保 どこ」とネットで検索する
- 救急外来で使える投薬量をすぐ知りたい
- 先輩に相談する時間が取れず、不安を抱えている
このように検索ワード→ニーズ→解決策を並べると、章構成が自動的に浮かび上がります。
ペルソナの生活リズム・学習スタイル・将来の目標まで掘り下げれば、執筆時に迷いません。
3.2種類の目次を用意しましょう
- 読者向け目次:本を開いたときに全体像が分かる地図・マインドマップ
- 著者向け目次:各章で解決する課題を確認するチェックリスト
著者向け目次がないまま書き始めると、途中で内容がぶれやすくなります。
まずはポストイットやオンラインのマインドマップツールでアイデアを並べ、色分けして整理しましょう。
その後、読者向けにそれぞれの項に合わせて、どこまで深い話をしていくのか、3〜4階層まで絞り込むと見やすい目次になります。
4.ドラフトは速く、推敲は丁寧に
下書き:AIや音声入力なども活用し、短時間で作ります。
推敲:構成や表現を落ち着いて見直します。音読することがおすすめ。
この2段階で、スピードと品質の両方を確保できます。
推敲では1章1目的を確認し、「結論→理由→具体例→結論」の順で並び替えます。
また、引用文献の最新版チェックや図表の差し替えを行い、臨床現場で再現できる内容かどうかを意識しましょう。
5.出版は人とのつながりで進みます
SNSで企画を発信したり、学会や飲み会で相談したりすることで、
編集者から声がかかることがあります。
書籍販売ブースでの名刺交換から、執筆が実際に進んだこともありました。
例えば、SNSではプロフィール欄に「執筆中(したい)のテーマ」を記載し、興味を持ってもらう導線を作ります。
連絡が来たら一両日中に返答し、簡潔な企画書を送付できるよう、常にチャンスを掴みに行ける状態で待っているのが大切でしょう。
企画書の冒頭に「私が書く理由」を3行で説明できれば、きっと魅力的な企画書になっているはずです。
次に、読者像を具体化し、2種類の目次で道筋を定めます。
下書きを素早く作り、丁寧に推敲し、人とのつながりを大事にすれば、
医学書出版の道はぐっと近づきます。ぜひ今日から書き始めてみてください。
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