これまで単著や共著で、いくつか書籍を出版させていただきました。
初めての単著を書き上げた夜の高揚感も、共著の原稿を共著者と詰め直した深夜の Zoom も、
そして監修を任されたときに味わった責任の重みも、どれも大切な記憶です。
そんな私が医学書を執筆するとき、いちばん大切にしているのが「インプット」と「アウトプット」をバランスよく循環させることです。
クリエイター業界ではよく「取り込みと発信の両方を太くする」と言われますが、医療の世界における発信活動をする場合でも同じだと感じています。
1. インプットは臨床と日常のなかに
医師にとってのインプットは、医学書を読み込む時間だけではありません。
むしろ診察室で患者さんの言葉に耳を澄ませる瞬間や、救急搬入の場面で交わされるスタッフ同士の一言、さらには後輩との雑談のなかにこそ「次のテーマの芽」が潜んでいます。
私はそうした気づきを逃さないよう、スマホのメモアプリに短いフレーズを残すようにしています。
「どうしてこの検査を怖がったのだろう?」
「この病態を説明するとき何が引っかかったのだろう?」
小さな疑問や感動を文字にするだけで、あとから驚くほど鮮やかに思い出せます。
近年は AI チャットや要約ツールが充実し、論文のサマリーを瞬時に得られるようになりました。
そのぶん手軽に情報が手に入る反面、誰もが同じ情報に触れやすくなっています。
だからこそ、臨床の現場でしか得られない“湿度のあるエピソード”を細やかに拾い集めることが、書き手としての個性を支えてくれると感じています。
2. アウトプットは「締め切り」と仲良く
ありがたいことに、私は毎月いくつかの媒体でアウトプットの場をいただいています。
note ではエッセイ「綴る救急医」を月に3〜4本
日経メディカルCadetto.jp では若手医師向けのエッセイを月に1~2本
民間医局コネクトでは月2本の医学書の書評を担当
ブログ「踊る救急医」では勉強記事や講演スライドをまとめています。
(医学書LABOでは医学書の書き方について、毎週月曜日にこんな記事を投稿中!是非毎週楽しみにしてくださいね。)
さらに Antaa Slide での資料配信、そして X(旧 Twitter)や Instagram での毎日の発信まで含めると、(勝手に自分が作っている?)締め切りが絶え間なく巡ってきます。
こう聞くと大変そうに思われるかもしれませんが、実はこの“絶え間ない小さな締め切り”こそが、私の執筆習慣を支えています。
短いスパンで原稿を仕上げるために、小さなインプットで得た種をいったん形にする。
その経験が、次に大きな医学書を書く際の推進力になります。
SNS も同じで、通勤や休憩時間の数分で書き溜めたメモを投稿へ仕立てることで、アウトプットの筋力が少しずつ鍛えられていくのを感じます。
3. インプットとアウトプットをつなぐメモの魔法
メモと言っても、壮大なまとめを作る必要はありません。
患者さんの言葉をふわりと写し取るだけでも充分です。
たとえば「採血が怖いと言った理由」「処方を変えたときの表情」「後輩がカンファレンスで詰まった瞬間」
そんな“温度”を伴ったメモは、AI ツールのサジェストでは決して手に入りません。
そして不思議なことに、アウトプットの締め切りが迫ると、眠っていたメモが急に輝き出すんです。
もちろん、アウトプットのスピードが上がるほど、メモは枯渇しやすくなります。
だからこそ、インプットの質と量を意識して太くしておくことが、長く書き続けるうえでの生命線なのだと思います。
太い循環を育てる
インプットを豊かにするには、臨床で心を動かされた瞬間を見逃さず、丁寧に掬い取ることが大切です。
アウトプットを習慣にするには、小さな締め切りを味方にして、こまめに言葉へ変えてみると良いでしょう。
この二つが太いパイプでつながると、医学書の執筆をはじめとする、発信活動は不思議なくらい滑らかに前へ進みます。
もしあなたも「次の一冊」を構想したいと思っているのなら、明日の診察室で聞こえた患者さんや自分の疑問を、一言のメモに残し、帰りの電車で 100文字の感想を書いてみてください。
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