医学書執筆には、想像以上の“制約”がつきまといます。
ページ数は価格帯に応じて厳密に定められ、図版点数・写真解像度・配色バリエーション・使用フォント・コラム枠のデザイン……
出版社との取り決めは、原稿用紙のマス目よりはるかに多岐にわたります。
しかも紙と電子で仕様が変わる場合もあり、執筆者は「書きたいこと」より先に「書ける条件」を整理する羽目になるのです。
壁に突き当たったとき、私たちはついこう考えがちです。
導入を削れば帳尻は合う…。
補足を外せばページが縮まる…。
画像を小さくすれば紙面に収まる…。
しかし読者にとって舞台裏の事情は一切関係ありません。
結果として、
「この章、結局何が言いたいの?」
「図が小さくて理解できない!」
と評価が下がり、レビュー欄に辛辣なコメントが並ぶ…そんな未来は悲しいですよね。
そこで忘れてはいけないのが、“読み手ベースの視点”です。
例えば、自分が読者としてある一冊の本を手に取ったとき、「著者がページ制限で苦労したらしい」という同情はまず湧きません。
求めるのは「わかりやすさ」と「臨床で役立つか」のみ。
裏事情は加味されないのです。
もしレイアウトや文章が不親切だと感じたら、執筆者が真っ先に検討すべきは“削る”より“置き換える”発想です。たとえば、
- 図表の差し替え:複雑な表をインフォグラフィック化して視認性を向上させる。
- 文章の再構成:二文で言える内容を一文に圧縮し、空いた行に各項のまとめを追加する。
- 付録PDFの活用:詳細データや症例写真をQRコード連動で電子付録に回し、本文は読みやすさを優先する。
こうした工夫で“ページあたりの情報密度”を高めれば、同じ制約下でも読者満足度は大きく変わります。
そして何より、すべての判断基準を「読者のストレスを減らすか」で統一すると決断も早いのです。
読者が迷わず、楽しく学べる一冊を届ける。
そのための執筆者のもがきと編集者との粘り強い対話は、決してムダにはなりません。
理想と制約の最適解を探すことこそが、医学書づくりの醍醐味なのだと、私は日々痛感しています。
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