お疲れさま、当直続きで大変だったね。なにか悩んでることがあるの?
はい、救急外来でABCDアプローチをやってるつもりなんですが、緊急度を見極める基準や手技の手順が頭の中でごちゃごちゃになっちゃって…。なんとなく進めてしまうので本当に大丈夫か不安で。
あるある。救急ではABCDが基本と言うけど、総論的な本だけ読んでも実感わきにくいよね。そんな君におすすめしたい本があるよ。我田引水で申し訳ないけど…笑。実は僕が書いた、『みんなの救命救急科』っていうABCDアプローチの実践ガイドなんだ。
“みんなの”ってタイトルがついているくらいだから、看護師さんや救急隊の方にとっても読みやすい本なんですか?
そのとおり。まさに“みんなの”ための一冊。医学生・看護学生から、研修医、看護師、救急救命士など、幅広い層が“救急診療のABC”を深く学べる構成なんだよ。ちょっと紹介していくね。
お願いします! 研修医だけでなく、ベッドサイドに立つ全てのスタッフが使えそうですね。
1.本書の概要とターゲット層
【タイトル】みんなの救命救急科
【編集】執筆:三谷 雄己 / 監修:志馬 伸朗
【出版社】中外医学社
【発行年月日】2022/10/24
【ページ数】A5判・430ページ
【価格】6,380円(税込)
ABCDアプローチの思考回路を<具体的手技>とともに深掘りしながら学べる実践的ガイドブック。
研修医~若手医師のみならず、看護師・救急救命士・医療学生など、救急現場で患者さんに接する可能性のある全員を対象としています。
2.みんなの救命救急科とは?(本書の特徴)
- ABCDアプローチを徹底解説
呼吸や循環の評価ポイントから意識障害の鑑別まで、救急現場の優先順位を落とし込んだ構成。
「まずはAirwayを確保」という基本から、「意識障害の原因検索」まで、手順と理由づけが詳しい。 - からだずかんでお馴染みのイラスト
Instagramフォロワー6.6万人超の人気看護師イラストレーター・角野ふち氏による240点超のイラストが理解をサポート。文字だけの解説書にはない視覚的なわかりやすさが評判です。 - 各専門医によるコラム
外科・内科・循環器など各科の専門医が、救急対応や手技のコツを“本音”でアドバイス
。現場で頼れる知識をコンパクトに吸収できます。
- リアルな救急外来の追体験
研修医が悩む場面を追体験できるストーリー仕立てで、「こんなとき実際どうするの?」が手に取るようにわかる構成になっています。
3.目次と主な学習内容
本書は
の順で、ABCDに沿った形で章立てされています。さらに具体的には:
- Primary survey / ABCD アプローチ – 救急診療の総論
- Airway – 気道評価、気管挿管、外科的気道確保
- Breathing – 呼吸不全のメカニズム、酸素療法、NPPV、胸腔ドレナージ
- Circulation – ショックの分類と鑑別、カテコラミン、中心静脈カテーテル
- Dysfunction of CNS – 意識障害の鑑別、けいれんの対応など
- CPR – BLS / ALS の実践的解説
- 補足 – 血液ガス分析など
これらを通じて救急外来から病棟まで、一貫して使える知識を習得できます。特に初期対応で忙しい研修医には、流れるようなアプローチを身につけるのに最適です。
4.読者層別メッセージと魅力
「読んで即、救急対応に活かせる幅の広さ」が大きな魅力。
- 医療系学生(医学生・看護学生)
まずはPrimary surveyで重症患者を見逃さない!
人体の仕組みや手技の基礎をイラストで学びながら、臨床の“入り口”に立てます。 - 初期研修医 1年目
ABCDアプローチを使って助けが来るまでに患者さんを安定化させるスキルを習得。
末梢静脈路確保や血ガス解釈など、初期対応を
「まず一歩踏み出せる」ようになる。 - 初期研修医 2年目
一通り知っているつもりでも、まだ知らないコツや
気づきがいっぱい。
高度な救急診療のエッセンスに触れて、診療の質をさらにアップ。 - 後期研修医~ベテラン医師
ベッドサイド診療のポイントや、挿管・CVCなど手技の復習にも便利。
さらに勘所を押さえた身体診察が習得でき、院内急変対応にも強くなります。 - 看護師・救急隊
患者到着前のブリーフィングで何を考え、
どんな準備をしているか把握するのに役立ちます。
病院前でも活かせるモニタリングとABCDの視点を吸収可能。
5.まとめ
「ABCDアプローチを、実践の中で本当に使いこなすための一冊。救急診療初心者からベテランまで、『全員が読んで損なし』と言える一冊を目指しました。」
目の前の患者さんにどうアプローチし、どう安定化させるか——その基盤を築きたい医療従事者にこそ、『みんなの救命救急科』は大きな助けになります。
ぜひ一度、手に取ってみてください!
▼星評価(★1~5評価)
- 必要性: ★★★★★(救急に関わるならマストとも言える内容)
- 本の薄さ: ★★★★☆(430ページで情報はぎっしりだがイラスト多用で比較的読みやすい)
- わかりやすさ: ★★★★★(ストーリー+専門医コラム+イラストで多角的に理解できる)
- 面白さ: ★★★★☆(実践的な内容に特化している分、真面目なテイストが中心)
- 継続使用度: ★★★★★(当直のお供や復習教材として長く使える)
- オススメ度: ★★★★★(「救急で働く全ての人」に推奨の一冊)